KATE BUSH Collection
私の愛聴している名曲からおススメの12曲を選曲しているのですが、初めて聴く人のためにタイプの似たものは泣く泣くボツにし、バラエティーに富んだものにしたつもりです。アナログレコードを模してA面B面という設定にしました。一曲ずつ紹介し、すぐに試聴してもらえるように構成したのでお楽しみください。また、私なりに内容を探求し、限られた画像と乏しい技術で作成した紙芝居式動画もお楽しみください。
Running Up That Hill ~神秘の丘~
アルバム『愛のかたち』より
この曲の正式曲名は「Running Up That Hill(A Deal With God)」のように副題が付いています。しかし、元々はこれが逆で「A Deal With God(Running Up That Hill)」でした。何故こんなことになったかというと、逆にしなければ歌えない国が生じたからです。”God”と付くだけで”A Deal With Devil(悪魔と取引き)”とまで発想されてしまうみたいです。ケイトは「悪魔と取引きした訳ではないのに、神という言葉を使ってしまうとこんな目にあうのよ、神という言葉があると無数の力強い願いやイメージが湧いてしまうのね。そのせいでイタリア、フランス、オーストラリアで歌えない。」と言ったらしい。
サビを一部紹介しましょう。
♪あなた
あなたと私
できるものなら
神と取引きをし立場を交換してもらうのに
そしたら あの道を駆けあがり
あの丘を駆けあがり
あの建物を駆けあがるの
もしもできるものならば…♬
サビだけだとわかりにくいと思いますが、深読みせずストレートに解釈すれば、”男女の性を交換しましょう、そうすればお互いのことをより理解できるから”という感じですが、違う意味もあるかもしれません。
全英第3位、アメリカでもヒットした”神秘の丘”
ケイトの曲の中では比較的ポップなほう。
私事ですが、ケイトと出会うきっかけの曲です。
コレ聴け!
Experiment Ⅳ ~第4実験~
ベストアルバム『ケイト・ブッシュ・ストーリー』より
※「嵐ヶ丘’86」とのカップリング曲として用意された新曲
内容は、軍のために内密に制作していた”快楽と刺激のための音楽実験”だったのだが、軍はいつからか人間を死に至らしめる音楽を作るようにと命令するようになる… と言うようなドラマ仕立てのものでオリジナルのビデオクリップも見ていて面白い。
17位まで上昇したヒット曲”第4実験”
この曲も比較的ポップなほう。
コレ聴け!
Fullhouse ~フルハウス~
アルバム『ライオンハート』より
もしかしたら地味に感じる曲かもしれませんが、サビのメロディーと歌い方がドラマチックでキュンとなる曲です。音の感じは全体的には懐古的な印象ですが、内容は人間の内面のことのようです。私には理解不能でしたので、動画は無難にケイトの画像とかでごまかしています。サビの一節を紹介します。
♬そうよ あなたは
自分自身を忘れてはいけないわ
今宵 あなたの頭の中にはフルハウス
自分自身を思いだすのよ
一歩さがって眺めてごらんなさい
自分の感情があなたを緊張させているのを♪
隠れた名曲”フルハウス”
暗めてドラマチックな曲です。
コレ聴け!
The Dreaming ~ドリーミング~
アルバム『ドリーミング』より
どなたのライナーノーツを拝見しても、口をそろえたように”問題作“というニュアンスで語られている。でもその言葉の奥には、とても嬉しかったり誇らしい気持ちが見え隠れするような… そんな感じでケイトのアーティスト性をリスペクトしての”問題作”というレッテルの貼り方のように思う。私の場合、聴く順番が『愛のかたち』→ベストアルバム『ケイト・ブッシュ・ストーリー』のレーザーディスク→以前のアルバムに遡る、という具合だったから、問題作を通り越したケイトまで見ていたので全面的に共感とまではいきませんが、当時の音楽シーンの中では画期的だったのでしょうね。
急ブレーキと共に”バン!”と車のボンネットにカンガルーがぶつかる音。そして、「地面の割れ目の中に雄羊たちの白い姿が見える」「高速道路を走りながら近づくにつれ、それが単なる木ではなく、実際に息をする人間だと気づく」との印象深いフレーズは、爆薬製造に欠かせないプルトニウムを始め数多くの鉱源を確保しようともくろむ白人たちの手にかかり、住む土地を追われ、大虐殺にまで及ぶという悲惨なオーストラリア原住民を例えている。オリジナルのビデオクリップも私の動画も少々シュールなものだが、テーマは重いものである。それにしても、この歌詞はかなりの想像力がなければ作れませんし、私自身理解できているのかどうか…。
72トラックを駆使した問題作”ドリーミング”
かなりの多重録音、色々な音をお聴き逃しなく。
コレ聴け!
How To Be Invisible ~透明人間になる方法~
アルバム『エアリアル』より
初めて聴いた時、カッコイイ曲だなあと思いましたが、まさかこういう内容の曲だとは思いませんでした。一定の裏打ちのリズム間にハードボイルド風のギターが入ってくるので、てっきりワイルド系だと思っていました。
私の解釈は、透明人間になるという欲望の裏には、多くの人にとってのプラスの財産を生むためではなく、自分本位な行動があると思う。歌詞で読み取れない部分もあるのですが、いざ透明人間になったら見たくないものが見えたりして逆に自分が傷つくということを言っているのかなあ?と思い動画を作成しました。
少しワイルドな曲調の”透明人間になる方法”
透明人間になる方法が面白い曲です。(絶対できませんが…)
コレ聴け!
Breathing ~呼吸~
アルバム『魔物語』より
初めて見たレーザーでのビデオクリップは強烈でした。不気味なムードの曲をバックに、ケイトが胎児になってもがいているのです。確か、全身をサランラップで巻いて、サランラップの綱みたいなもので自分と母親の体が繋がっている感じです。手もなかったような… サビで”ニコチン”という歌詞が入るので、煙草を吸う母親のお腹の胎児役をしているのだと思っていたのですが、実は”核”に対する批判を訴えたものでした。サビの一節を紹介します。
♩吸い込むのよ 母なる源を
吸い込むのよ 愛するものすべてを
吸い込むのよ そのニコチンを
人間の堕落を吐き出しては
また 吸い込むのよ♪
歌詞を読んだ時、直感的にチェルノブイリ原発事故が浮かんだのでそれをテーマにしぼって動画を作成しました。2番が始まり、4人家族の楽しそうな後ろ姿がカラー写真から白黒写真に変わる瞬間があるのですが、この時音楽の中に爆発音が入っていますので聴いてみてください。
当時、本人も最高傑作と言っていた曲”呼吸”
ちょっと重たいテーマです。
コレ聴け!
Cloudbusting ~クラウドバスティング~
アルバム『愛のかたち』より
ストリングスの心地よいリフが頭からはなれなくなるぐらい愛着のわく柔らかい調べ、その上に物語をメロディーに乗せてケイトが歌う。雲の製造機オルガノンを制作した研究者と息子、そして研究者を連行する政府の役人を描いたビデオクリップでは、研究者をドナルド・サザーランドDonald Sutherland(アメリカのテレビドラマ”24″に出演しているキーファー・サザーランドKiefer Sutherlandの父)、息子をケイトが演じている。最後政府の黒い車に乗せられて研究者が連行されるのだが、車の中から研究者(父親)が息子へオルガノンを操作して雨を降らせるようにジェスチャーで指示する。しばらくすると雨が降りだし、喜んだ研究者は思わず役人の帽子を払いのけるようにして脱がす、というシーンが印象的な短編映画風のビデオでなかなかの出来です。本家に比べ、私の動画は本当にチープですが、それなりに面白く仕上がっていると思います。低予算(0円)で工夫しています。
雲製造機のオルガノンにまつわる物語風の曲”クラウドバスティング”
ストリングスを活かしたトラディショナルなイメージの曲です。
コレ聴け!
π ~円周率~
アルバム『エアリアル』より
問題)半径5㎝の円周の長さは何㎝ですか?
学生さんならすぐ解けると思うのですが、その他の社会人の人は、生活の中でほぼ必要のない計算なので一瞬「あれ?どうだったけかな?」って思いますよね。
解答)31.4㎝
(5+5×3.14=31.4)
円周の長さ=直径×π(3.14)という計算方法でしたよね。すなわち円周が直径の何倍かを表す数が円周率と言って”π”のことですよね。昭和40年代生まれの私達はそう習いましたが… でも、正確にはπ=3.14ではなくてループしない無限の数字が限りなく続くんですよね。そんなことだけは、よーく覚えているんですよね。
今回の曲は、数字の虜になりπの計算に夢中になっている男性のことを表現しています。動画にも円周率の数字を書いているので追いながら聴いてください。Bメロ部分がクールでお洒落な曲です。
斬新な切り口の曲”π~円周率”
奇麗な円の集合体を楽しんで!!
コレ聴け!
The Saxophone Song ~サキソフォーン・ソング~
アルバム『天使と小悪魔』
ベルリンのバーの片隅で、静かにサックス演奏を聴いている女性の思いを表現した曲。ただただ演奏を静かに聴いていたい、という内容が全面に出されているけど、何かの例えなのかもしれないです。
サビで入ってくるサックス、そしてエンディングソロすべてカッコイイです。19歳でこんな大人っぽい曲よく書けますね。
サックスの音色に魅せられた女性の曲”サキソフォーン・ソング”
大人っぽい曲です。
コレ聴け!
Don’t Push Your Foot On The Heartbrake ~車輪がすべる~
アルバム『ライオンハート』より
♩ねえ しっかりしてよ スピードを出すのよ
それがどんな感じか分かっているでしょ
そんなにゆっくり運転してちゃダメ
靴のかわりにブルースをはいてちゃダメ
心のブレーキに足をかけないで♪
これがサビですが、しょげている相手を励ましている応援歌のようです。とってもファンキーなサビでハイテンションに歌うケイトと楽しい映像もお楽しみに!!
面白い曲名で楽しそうな曲”車輪がすべる”
コレ聴け!
Babooshka ~バブーシュカ~
アルバム『魔物語』より
皆さんはどのように感じるかわかりませんが、古くて懐かしい感じのする曲です。例えば、小学校の夏休みに祖父母の家でかかっていたなあ~みたいな雰囲気のイメージです。(現実は演歌ですけど…) 勝手にそんな懐古的なイメージを抱いていたので、私には曲調と内容が一致しないのですが夫婦間のことを表現しています。その内容はとても興味深くて感動的です。動画にさりげなく歌詞を入れているので読みながらお楽しみください。
全英チャート第5位”バブーシュカ”
心あたたまる展開の内容をお楽しみください。
コレ聴け!
Wuthering Heights ~嵐ヶ丘~
アルバム『天使と小悪魔』
知っている人も多いと思いますが、1994年から2011年まで毎週土曜日に放映されていたテレビ番組「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマです。明石家さんまさん司会の、その時代の先端をいっているような女性や一風変わった女性(いずれも一般人)とさんまさんがトークする面白いバラエティー番組でした。”恋から”=”嵐が丘”というぐらい浸透している曲です。
また、この曲はケイトの処女作で何と若干13歳にしてアイデアが浮かび、ずっとあたためていたものです。英文学史上さん然と輝くエミリー・ブロンテEmily Bronteの”嵐ヶ丘”のテレビドラマ版にインスバイアされてできた作品。偶然かどうか、主人公のキャサリン(愛称:キャシー)はケイトの本名と同名なので、より親近感が湧いたのではないでしょうか?サビの歌詞を紹介します。
♬ヒースクリフ 私よ キャシーが帰ってきたわ
とても寒いの 窓をあけて私を中に入れて♩ ※キャシーは幽霊です
影響を受けた私は、何本か映画”嵐ヶ丘”を見ましたが、1992年の主演ジュリエット・ビノシュJuliette Binocheの作品がわかりやすくて愛聴盤ならぬ”愛観盤”です。(賛否両論あるようですが…) 1939年版から現在までに最低6作品はあり、日本を含め各国ならではの”嵐ヶ丘”や舞台を含めると、とんでもない作品数になるのではないでしょうか?
日本での認知度が高いのは嬉しいことですが、”恋から”のイメージが強すぎて、曲自体を純粋に評価できずにいました。が、この度、選曲する作業により客観的に聴けるようになりました。ケイトの生みだす他の名曲とも一線を画した名曲と言えます。
ケイト・ブッシュと言えばこの曲
全英第1位”嵐ヶ丘”
コレ聴け!
もう一つの懺悔
この企画、「KATE BUSH Collection」と題して勝手にアルバム内の曲を取り出して構成し、挙句の果てには曲に画像を当てはめる行為そのものが懺悔に値します。アルバム単位で完結しているのをガタガタに崩して繋げて… 素人が繋げた画像で変なイメージ付けしてしまって… 当時のケイトが知ったら天使が悪魔に変身するかもしれませんね。でも、今のケイトは悪意のない素人の私がやったことだがら、女神様のように笑って許してくださるでしょう、きっと!!
※参考 : フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1stアルバム~10thアルバム(6thを除く)のライナーノーツ