“隠れ家的” シリーズの始まりです!!
シティ・ポップというジャンルがありますが、独自の捉え方で隠れた名曲をちょっと違った角度からご紹介していきますね。
なぜシティ・ポップなのか!?
きっかけは “YOUは何しに日本へ?”
お馴染みのベテラン芸人バナナマン司会のバラエティー番組 “YOUは何しに日本へ?” を知ってますか? 国際線のある日本の空港内にて、番組スタッフが外国人に日本に来た理由を聞き、了解が得られれば密着するという行き当たりばったりのドキュメンタリー番組です。そして、番組内では外国人に対しては『YOU』と表現するのがお決まりとなっていて、YOU達の来日理由は実に様々で個性的です。スポーツや特殊な競技に参加するため、目的の食べ物だけを満喫するため、お祭りに参加するため、帰国したくないから空港にとどまっている等々…思いもよらない理由のYOUもいる。そんなYOU達が日本に抱いている意外な印象が発見できたり、ご本人のキャラや生き様なんかがわかって純粋に面白いのだ。
いつものようにスタッフが「Why did you come to Japan?」と尋ねたところ、日本で購入するためにYOUが見せてくれたリストアップが、シティ・ポップのレコードだったのです。その様子の詳しくは、いろんな方がブログにまとめていらっしゃいますので、そちらをご覧ください。細かい内容を覚えていないので私も参考にさせていただきました。簡単にまとめると、一人目は、70年代のシティ・ポップ、特に「くすりをたくさん/大貫妙子」が最高と言うアメリカの男性YOUで、「サンシャワー/大貫妙子」をゲットしたく来日。そして二人目は、80年代のシティ・ポップ好き、一番のお目当て「恋は流れ星/吉田美奈子」のオリジナル版をゲットしたく来日したスコットランドの男性YOU。YOU達、お目当てのレコードは購入できませんでしたが、リストアップしていないものも含め沢山購入されてました。お買い上げありがとうございました~ どちらもリアルタイムで見ていたのですが、2回ともモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤ同じ衝動に駆られたのでした。
その衝動とは、お決まりの曲にとどまらず隠れた名曲を教えてあげたい!! という気持ちです。でも、その時の私には何の術はなく月日が経ってしまいました。しかし、幸運なことに、今はこうして世界に通じる公の場で曲を紹介している。そしてブログもYouTubeも少し慣れてきた、機は熟したのだ!! ということで今回の企画に至ったというわけです。遠い海の向こうのYOU達に届くと嬉しいのですが… 勿論、日本の “あなた” にもお届けします!!
そもそもシティ・ポップとは…
そうです。そもそもシティ・ポップとは? なのです。私は、ジャンルを感覚で捉えている節があるため、この際じっくり調べる必要があります。だからって自分の感覚が変わるのではなく、一般的な常識を知識としてインプットし、その一般的な常識を逸脱した感覚がどれぐらいかを測りながら、それでも名曲だと言える所以をちょうどいい塩梅に皆さんに説明するためです。
早速、夫の所持しているシティ・ポップの専門書を4冊借りて読むことにしました。
けど…
紹介用の曲(YouTube用)は、1月ぐらい前に完成しているのに、未だ本を読むところでモタモタしています。本を少し読んで、ざっと見て、ちょこちょこ紹介された曲を聴いて、その数150曲、でも4冊中の紹介曲のわずか5%にも満たないと思います。正直、気の遠くなるような作業と読書が大儀になってしまいました。そんなブログを中断している状況にひっかかりを感じながら日々過ごしていたのですが、もー、見るのも読むのも聴くのもやめて違う角度から進めていくこととします! 降参です、フィーリングだけでやらさせていただきます。
“The・シティ・ポップ”
「YOUに教えてあげたい!!」なんて偉っそうに言っておきながら、こんな感じで放り投げてしまったら、せっかくシティ・ポップを知ろうと思っていた方に失礼ですね。ごめんなさい。文章にて理論立てて説明していく自信がないので、多くの方がシティ・ポップとして認識している曲の中から、とびっきりの名盤を紹介しますのでYouTubeとかでチェックしてみてください。
Down Town (Sugar Babe/EPO)、指切り (大瀧詠一)、真夜中のドア (松原みき)、モーニング・ハイウェイ (杏里) 、RECIPE (山下達郎)、今夜はHearty Party (竹内まりや)、明日あの海で (小田正和)、Fool In The City (濱田金吾) など私の選んだ名盤で、他にシュガーベイブをはじめ吉田美奈子、ブレッド&バター、南佳孝、荒井由実、角松敏生、大貫妙子… 等々多くのアーテイストが君臨しています。
しかし、私なんかのように、ジャンルにとらわれずに名曲を聴きたいというタイプならいいのですが、敢えてシティ・ポップというジャンルを聴きたい、コレクションしたい、知識として把握しておきたいとこだわる方は、専門書を読んだり、ネットで調べたりしてみてください。気を付けてもらいたいのは、シティ・ポップくくりのオムニバスCDとかを聴く時は、1~2曲は有名な名曲が入っていますが、他の曲がピンとこないなあ… ということが多いです。上記に挙げたような名盤ばかりではないのです。じゃない方が遥かに多いと思います。つまるところ、人が名盤だと言っても100%は信じない方がいいということです。せっかく購入したLPやCDを否定したくない気持ちはわかりますが、きちんとジャッジしましょう。
こうなったら、本当にざっくりと「私の思う “The・シティ・ポップ” とは」を言います。
①曲がお洒落な感じ、都会っぽい、AORに近い
➁歌詞が涼し気、恋愛もの、都会っぽい
➂演奏がフュージョンぽく軽快で、使う楽器や技法が似ている傾向がある
④シティ・ポップという畑にいるアーティストの曲全般(こういうくくり方は好きではありませんが)
➄LP、CDジャケットにプール、海、車、夏のアイテムをイラストで表現しているものも多い
どうせならもっと…
予習のために聴いた全体の5%にも満たないという150曲もの曲、確かにシティ・ポップです。軽快で気持ちの良いシティ・ポップです。でも、敢えて取り上げる程ではないのでは… 似通った曲もあるぞ… という印象も否めません。また、コマーシャルな曲は避けている?派手な曲はシティ・ポップ界では名曲になれないの?総じて、シティ・ポップとは、水着にサングラスの女性が、プールサイドのパラソルの下のボンボンベッドに横たわって聴いている音楽、ただただ雰囲気重視のBGM… こんな風に思えてならない。黄色マーカー部分の「コマーシャル~?派手な~?説」を説明すると、例えば角松敏生さんの曲で言うと、やっぱり名曲は6thアルバム『TOCH AND GO』に収録の「Lucky Lady Feel So Good」だと思う。シティポップの心地よい乗りとメロディーが最高に整っているからだ。加えてキャッチーな上に飽きのこない高級なメロディーだと思う。しかし、音楽愛好家や著名人のおススメ曲に全くエントリーされていないのだ。それが、この「コマーシャル~?派手な~?説」を唱える所以です。
私ってヒネクレ者?
「私の求めるシティ・ポップとは」上記の①に加え、
⑥曲に個性がありメロディーが安くないこと
演奏がある程度同じ方向を向いているので、メロディーに魅力がなければ、他の曲との差別化がはかれず唯一無二になり得ない。また、演奏が気持ちがいいので、無難な差しさわりのないメロディーが乗っかるだけで曲として成立してしまうのです。だからこの⑥は大事な条件になります。
結局、また私の愚痴りのコーナーになってしまいましたが、名曲を紹介する人は本当に名曲だけを紹介してほしいだけです。迷える子羊たちのために…
ヒネクレ者が選んだシティ・ポップの名曲
これは私の持論ですが、そもそもジャンルというものは後付けで、アーティストが表現したいことを音楽にしたらシティ・ポップになった、というだけだと思う。職業作家さんのように商業的にシティ・ポップを意識して制作することもあるでしょうが、CDショップのシティ・ポップコーナーへ陳列されていることに違和感のあるアーテイストもいるのではないでしょうか?逆に、アイドル、ニューミュージック、ポップス、ロックなどのコーナーにも、とっておきの逸品のシティ・ポップを含んだアルバムが存在していることもあるのです。宝が眠っている夢のコーナーとも言えます。
では、早速 “ヒネクレ者が選んだシティ・ポップの名曲” を発表していきたいと思います。
今回は、先述した “The・シティ・ポップの名盤” の類は選曲から外しました。ヒネクレ者セレクトなので「正にシティ・ポップ」もあれば、「ぎりぎりシティ・ポップ」や「シティ・ポップというよりはニューミュージック」「あれ?あれ?」というものもあるかもしれませんが、その辺のところも考えながら聴いてみてください。
1. とがったのKissの警告 / 吉野千代乃
随所随所でお決まりの「タタタ」というキーボードのフレーズがポイントになっている曲で、ラテン系のダンスが似合う感じがします。恋が深まっていく感覚を上品な詞にしています。詞、曲、アレンジすべて申し分なくお洒落です。
★1988年4thアルバム『Montage』
★作詞:松井五郎 / 作曲・編曲:斉藤英夫
コレ聴け!
2. amour au chocolat / 今井美樹
シティはシティでも、日本ではなくヨーロッパ、異国のシティ・ポップですね。サラッと進むAメロからサビに変化したとたん、胸がキュンとなるようなドラマティックな展開、ギターの音も素敵です。
★1992年7thアルバム『flow into space』
★作詞:今井美樹 / 作曲:布袋寅泰 / 編曲:久石譲
コレ聴け!
3. Midnight / 太田裕美
A面ニューヨークサイドを自身担当、B面東京サイドを夫であるディレクター福岡知彦担当、というコンセプトアルバム。「なぜ、彼女のことを口にするの? わからない。やめてどうぞ、心が破れそうよ…」という歌詞とバック音楽と歌声が妙にマッチして、こっちまで心が破れそうになります。NYのムードたっぷりの日野皓正によるトランペットソロも必聴です。
★1983年16thアルバム『Far East』
★作詞:LINDA LAWLEY / 訳詞:竜真知子 / 作曲:MARGARET DOEN / 編曲:萩田光雄
4. I MY ME / AB’S
1982年、芳野藤丸、松下誠、渡辺直樹、岡本郭男、安藤芳彦(2005年山田秀俊に交代)の有名バンドマンが集まったスペシャルバンド。個々がプレイヤーだけに納まる器ではなく、皆が曲作りに参加しアルバムの中は名曲で溢れそうだ。
今回シティ・ポップとしてはややロック色が強いが、AB’Sならではのシティ感を味わってもらいたく選曲。くすぶったようなベースに淡々としたドラムがかぶさり、続いて小馬鹿にしたようなAメロとなる。ここまでは、まるで都会の闇を見るようだが、サビに入ると一転、ホッとするような爽やかなメロディーが広がる。ベース、ドラム、キーボートが盛上げるAB’Sらしいギターソロもお聴き逃しなく。
★2004年シングル曲を含めたミニアルバムの再発版アルバム『A5B3C&Single』
★作詞:安藤芳彦 / 作曲:渡辺直樹 / 編曲:AB’S
コレ聴け!
5. こごえる心 / 麗美
スペイン系フィリピン人の父と日本人の母とのあいだに生まれた麗美。
モデル出身の姉、堀川まゆみがきっかけとなりメロディーメーカーの松任谷夫妻の秘蔵っ子としてデビュー。
良質なメロディーに正にシティ・ポップのアレンジがほどこされている。メロディーがキャッチー過ぎてシティ・ポップファンからは敬遠されている節がある?歌詞に都会を連想するものが2~3個追加されたらシティ・ポップに近くなる? ………なぬを言うか!!
★1984年1stアルバム『REIMY』
★作詞:田口俊 / 作曲:松任谷由実 / 編曲:松任谷正隆
コレ聴け!
6. Stop Passing Night / 門あさ美
ポプコン出身のシンガーソングライター。ライブ活動はなくメディア露出が極端に少ない彼女だけに、曲に馳せる熱量は相当なものだと想像する。
全体的には、私ら世代からすると少し年上の方の曲、という印象なのですが、この曲に限ってはぐっと近い感じがします。ムードがあり情景が浮かぶような曲で、こちらまで苦しくなりそうだ。彼女の歌詞の当てはめ方の特徴なのかもしれないが、「崩れた泣き顔見られたくない」「最後のわがまま聞いて」「だから眠ってからそっと出てって」の箇所は、その時の不安定な情緒を感じさせるような効果がある、と私は思う。妻子ある彼との別れ、彼に彼女ができた、両想い同士の別れ、浮気をした彼女が大事なのは元彼と気づいた時の元彼との別れ… どういうシチュエーションの曲かが妙に気になる。美人で謎めいたあさ美さんが書いた曲ということを考慮すると、最後のシチュエーションが有力かも… それによっては、彼の方の気持ちにも寄り添いたくなる。
皆さんはどう思いますか?
★1979年1stアルバム『FASCINATION』
★作詞・作曲:門あさ美 / 編曲:戸塚修
コレ聴け!
7. I miss you / 沢田知可子
シングルカットされ大ヒットした曲「会いたい」はご存知ですか?カラオケではよく歌ったものです。その「会いたい」と同じく収録されているのが、アルバムタイトルと同名の「I miss you」です。カラッとしたタイプの失恋ソング、こんな仕上がりはあまりないですよね。さすがレベッカのメロディーメーカー土橋さんの曲、メロディーに哀愁や気品が感じられ聴かせるアレンジにもなっている。軽いリズムにギターとキーボードが絡んだイントロを聴くだけで、世界観が広がり一気に引き込まれる。そして、最後までその感覚は続きエンディングのギターソロを迎える。このギターソロは永遠聴きたくなるほど気持ちがいいですよ。この方、土橋さんと交友の深い是永巧一さんとみられます。
★1990年4thアルバム『I miss you』
★作詞:沢ちひろ / 作曲・編曲:土橋安騎夫
コレ聴け!
8. いいよ / Sugar Soul
当初はボーカルaicoを含めた3人のR&Bユニット。「いいよ」リリース時のメンバー構成はよくわかりません。(アルバムのクレジットが読みにくくて…)
Dragon AshのKengiとのコラボ曲「Garden」が大ヒットしましたよね。
彼らの曲は、シティはシティでも若者が多く集まる場所のイメージだし、ジャンル的には何か違いますよね。そうなんです。そうなんですけど、レゲエのリズムとブラスの音が心地よくてシティ・ポップと錯覚してしまいました。選曲の時はまあまあ自身があったのですが、今は自信が少なくなっています。でもお洒落ではありますよね。
★2000年8thシングルカット、2ndアルバム『うず』に収録
★作詞:Sugar Soul / 作曲・編曲:朝本浩文
コレ聴け!
9. ジャマイカン・アフェアー / 岡崎友紀
1970年から放映された学園ラブコメ番組「おくさまは18歳」「なんてったって18歳」の主演でお馴染みの彼女。と言っても知ってる人は少ないですかね。私でさえ多分再放送を見ていた世代だと思います。元気なキャラのイメージしか残っていませんが、歌手活動や作詞も手がけていたようです。
この曲は正にシティ・ポップと言っていいでしょう。日本のシティではなく、カリブ海に浮かぶ島国ジャマイカでのバカンスを歌ってるようです。ムードたっぷりの曲に負けないぐらい気だるく歌うボーカルが映えます。
ちなみに、これに先駆けて、同じく女優で歌手のテレサ野田さんが、同曲を坂本龍一編曲により「トロピカル・ラブ」というタイトルでリリースしています。
★1980年シングル「Do You Remember Me」のB面
★作詞:安井かずみ / 作曲・編曲:加藤和彦
コレ聴け!
10. Image / 山根麻衣
この人もシティ・ポップ界で認知されていますが、ロック色が強く個性的と言えます。この歌唱力なので、他のアーティストのバックコーラスを務めることも多く、案外な曲で出会えることもあります。この曲に関して言うと、他のシティ・ポップとは歌詞の方向が違うので動画には歌詞をのせました。お洒落というより、少し擦れた大人のカッコイイ曲と言えます。
★1984年4thアルバム『THE DAY BEFORE YESTERDAY』
★作詞:山根麻衣 / 作曲:長島進 / 編曲:長島進 THE BAND OF NITE FAMILY
コレ聴け!
終わりに
どうだったでしょうか?色々なご意見があるのは想定内ですが、それでも結果素敵な曲と出会えることができたら嬉しいです。
あと、各曲のクレジットをさぐっているとき発見したことがあります。それは、曲作りにシティ・ポップ界の有名人が絡んでいるということです。なるへそー。なるべくしてなった音なんだね。それと、シティ・ポップの4冊の専門書、最後まで読みきることはできませんでしたが、その存在が大変役に立ちました。読んでないのに?? 私の知らないシティ・ポップのシーンがあることや、シティ・ポップを愛する人達が理論的にまとめあげていること、私には到底できないことなので、私に何らかのブレーキをかけてくれる存在になりました。中でも、1冊紹介しておきたい専門書があります。それは、著者lightmellowbuの「オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド」です。この専門書を発行された主旨が私のブログを立ちあげた主旨と似ているところがあったからです。良かったら購入してみてください。
アメリカのYOU !
スコットランドのYOU !
聴いてくれた?
こんなマイナーなブログを目にすることなんかないか… それでもYouTubeで聴いてくれる可能性は0ではないよね。
これに懲りず、第2段もやるつもりですので、その時はどうぞよろしくお願いします。