桃郷シンデレラ4

文

最近この曲を懐かしんでいる人が多いようです。
これから聴きどころを丁寧に紹介していきますね。
先に聴きたい方は、末尾の動画をご覧ください。
また戻って来てくださいね!

クレジット等

『東京シンデレラ?』『ももさとシンデレラ?』

実は、『ももさとシンデレラ』と書いて『とうきょうシンデレラ』と読みます。

歌詞を聴いたらわかりますが、状況的には『東京シンデレラ』でも全くはずれている訳ではありません。しかし、あえて『桃郷シンデレラ』にすることで  4倍  哀愁が高まるんです。

クレジット

作詩 さいとう菜々子
作曲 是沢淳子
編曲 タンゴ・ヨーロッパ
※CDアルバムクレジット標記に準じています

ジャンル

ポップス

スタイル

5人編成のガールズバンド

曲は外部からの提供もあるが、メンバー内でも作詞・作曲・編曲をてがける。
今回紹介する「桃郷シンデレラ」はすべてメンバーで作成

 

アーティスト紹介

簡単な経歴

1980年  バンド結成。
1982年「きらいDAIきらい」でメジャーデビュー。
1984年「桃郷シンデレラ」シングルレコードを発売。
この年、解散。
1994年  アルバム「フラストレーション」にボーナストラックで「桃郷シンデレラ」が入り初のCD化!!

パート

さいとう 菜々子 唄、こーらす、さっくす(斉藤信長)
これさわ じゅんこ こーらす、ぎたー、DX”ずんこ”7
いしだ みきこ こーらす、どらむす、ぱーかっしょん、しもんず
さかぐち RIKI かおる こーらす、べーす、(スペクター花子、スティングレー松浦、フットレス浜口)
つかごし ゆかり こーらす、きいぼうど、ジュピター”こうたろう”8、DX”ずんこ”7

アルバムにはこのようなパートで表記されていましたが、もう少し簡潔にすると、

斉藤 美和子 ボーカル、コーラス、サックス
是沢 淳子 ギター、コーラス
石田 美紀子 ドラム、パーカッション、コーラス
坂口 かおる ベース、コーラス
塚越 優香 キーボード、コーラス、サックス

勝手に簡単にしてしまいましたが、こだわりがあったと思います。
私にも経験があるのでわかる気がします。
楽器を大切に思っていることもうかがえます。

 

桃郷シンデレラの感想

全メンバー実力派

バンド結成の経緯を把握していなかったので調べました。ネット上では、ダイレクトに掲載されているものがなかったのですが、ある方のブログで貴重なものをみつけました。それは、「デビューLPのLPバッグ(紙袋)」の写真です。その紙袋には、メンバーの写真やコメント、バンド結成の経緯も書かれていたんです。目を凝らさないと読めなかったのですが、簡単にまとめてみます。

同じバンドを離れた石田美紀子さん(Dr)と坂口かおるさん(Ba)が是沢淳子さん(Gu)とめぐり逢いタンゴ・ヨーロッパを結成。その後、是沢さんが塚越優香さん(Key)に「イーストウェストのグランプリをとるつもりだからタンゴに入らないか」と誘い、最後にどういう成行きか不明だか、斉藤美和子さん(Vo)が加入することとなる。その時のタンゴに対する斉藤さんの印象が「演奏が上手すぎて私には似合わない」ということだったらしいので、斉藤さんだけ新参者だったのかもしれません。

※参考資料  :  運営者Hottaさんのブログ内の掲載物
 「タンゴ・ヨーロッパのデビューLPのLPバッグ(紙袋)」
  blog.livedoor.jp/gunbeach/

その後は、順調にバンド活動が進みプロとして実力を発揮することとなる。

テクニックはさることながら、やりたいタイプの曲に仕上げるアレンジ力もたけていると思う。YouTube動画等でライブの様子を見る限りでは、ちゃんと彼女達が演奏しているようなので、勿論レコーディングも彼女達の音だと信じたい。と疑ってしまうぐらい上手い!

ネット上での追跡しかできていないが、その後も皆さん音楽にたずさわっているようだ。

それだけに解散の理由が気になる。

小人バンド

 

実はそんなに好みではない?

実は、名曲として紹介する“桃郷シンデレラ”以外はあまり好きなタイプの曲ではありません。あくまでも個人的な好みです。

しかし、中途半端にオチャラケているのではなく、目指している曲に仕上がっていることが凄いと思う。
オチャラケという表現は悪意がありましたね。もとい、アバンギャルドな感じ?  エンターテーメント性が強い感じ?  ですかね。

 

名曲が名曲としてリスペクトされる健全な時代

試聴を準備するにあたりYouTube動画を見ましたが、皆さんこの曲を懐かしんでいたり、探している方が多いことを知りました。

ある日レコード店に客としていた時、「桃郷シンデレラありませんか?」と店員さんに尋ねていた人がいたことを思い出します。確か、何も持たずに帰っていました。

音楽を創る人も、プロモーションする人も、聴く人も、音楽に真摯に向き合い、名曲が名曲としてリスペクトされる健全な時代でした。

 

ここが凄い!

歌の舞台は東京ですから、『東京シンデレラ』で外れていません。しかし、『桃郷シンデレラ』にすることによって、果実栽培が盛んな丘陵地など自然豊かな町に住む女性が、都会に夢をふくらませて上京している絵が浮かびますよね。このネーミングが凄い、泣けてきます。

“桃郷シンデレラ”では、それまでの個性的な歌い方(ボーカルの域を超えたセリフとも思えるような歌い方も多かったのです)に比べれば普通に聴こえるかもかもしれませんが、言葉の置き方、音の合わせ方が絶妙だ。今でこそ、ファルセットを取り入れる手法はポピュラーになっているが、当時は今ほど使われていなかった。
曲中では、♪シンデレラの夢いだ~♬ のところでさりげなくファルセットっぽくなります。「私、ここでやってますよ」と主張していないのです。
これまで
個性的な歌い方をそつなくこなしている彼女だからこそ、綺麗にはまっているのだと思う。

やっと肝心の曲についてですが、まず曲構成が凝っています
単純にAメロ、Bメロ、サビで構成されているのですが、イントロなしでAメロBメロをスローに歌い始めます。そして、サビに突入するとともに全楽器が入りオンテンポになります。そしてさっき凄いと言ったファルセットが入ります。この流れがこの曲の醍醐味です。なので、最初からかじりつきで聴いてほしいです。

後半、エンディングのギターソロで、もう二度泣きです。ベースをはじめ他のセクションがグルーヴ感を醸し出しながらフェイドアウトしていくんです。まさに歌のテーマと重なり合う瞬間ですね。

歌詞は、特別に説明するまでもありませんが、敢えて言うなら、サビ終わりに季節と心情を表現することにより、上京してからの月日の流れと恋愛の行方を物語っていることが、わかりやすくていいと思う。

 

 

疑問が残る

実は、恥ずかしながら数年遅れでこの曲を知りました。なので、デビュー当時のことなどリアルタイムでは把握できていません。

驚いたことに、キングレコード以前のアルファレコードに在籍していた時、“桃郷シンデレラ”の元になっているオリジナルバージョンが存在していたことがわかったんです。アップテンポのロック調の曲でした。歌やメロディー中心の曲をロック調にしたり、レゲエやボサノヴァ調にするのはよくありますが、ロック調の曲を逆に今回のような曲に仕上げるのは案外難しいことです。こんなハードルの高いことをやってのけるタンゴ・ヨーロッパは凄いです。改めて感心するとともに、プロデューサーやスタッフの力も凄かったのだと想像しました。

試聴

文

では、お待たせしました。
コレ聴け!