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こんな不本意な終わり方があっていいものか!!
初のフルアルバムがこんな結果に…
そんなSOPHIAの名曲「DEFIANCE」と「LACHER」を丁寧に紹介しますね。

日本のプログレ・ブームの中で…

クレジット

1986年 フルアルバム『DEFIANCE』より

作詞/作曲:土坂健司

メンバー
森川健司 ボーカル
土坂健司 ギター
林伸哉 ベース
細川博史 ドラム、パーカッション

ジャンル プログレッシヴ・ロック

 

日本にもプログレブーム、そして変化がやって来る

以前投稿している記事『夢先案内会社 / 平山照継』を読まれた方は、「このバンドだったんだ」と思ってくれているかもしれない。近々とっておきのバンドを紹介すると予告していたからだ。そうです、当たりです。

“プログレッシヴ・ロック”というジャンル、初めて聞くっていう人は少ないと思いますが、今回紹介する「SOPHIA」は音を聴いただけでは一般的に想定される「ザ!プログレ」という感じではない。しかし、活動シーン、楽器編成、音から連想される既成のバンド、曲のタイトル、レーベル等々、少し知識があればジャンルを嗅ぎつけることはできます。プログレについては、多くの方が解説していますのでそちらを参考にしてください。世界各国での音楽の歴史も絡んでいますので、線引きが難しいジャンルです。やっばり、プログレに限らず色々なジャンルを聴いて愉しみながら自分の耳をきたえることがおススメです。

70年代に日本にもプログレブームが到来します。勿論、外国のプログレやユーロ(…と言ってもダンスミュージックのユーロではないです)の影響をそのまま受けているタイプもあれば、それを日本人の解釈で音楽にしたものも存在します。どちらにしても海外のプログレをリスペクトして発展したのだと思います。日本でプログレが自然発生するほどの音楽的環境はなかったものの、受入れて創造していく状況は整っていたのだと思う。それは、ミュージシャンに限らずリスナーにも同様と言えます。

日本に住んでいながら最初に聴いたプログレが、イタリアの「PFMPremiata Fornria Marconi」や「ゴブリンGoblin」、ドイツの「ノヴァリスNovalis」、イギリスの「キャメルCamel」や「マイク・オールドフィールドMike Oldfield」とかで、日本のプログレに行くまでには少し時間がかかった。でも、いざ聴いてみると良いものも沢山あったので随時紹介していきたいと思います。

しかし、世界的にも音楽シーンの発展と変化そして衰退が目まぐるしく、れそが日本にもやって来ます。日本のプログレブームもそう長くは続かず、本当に好きな人達だけが今でも聴き続けている状況だと思う。「近年でも新規のプログレバンドは存在するよ。」と言われるかもしれませんが、海外のプログレも同様、かつてのプログレを語る時は一線を引きたいファンも多いはず。

 

魔のアルバムリリース

そんな環境の中、SOPHIAは初のフルアルバムをリリースするのだが…

意味深な書き方をしてしまいましたが、このことは次の章であらためます。

 

メンバーについて

たかみひろし氏によれば

ここでは、SOPHIAというグループについて説明したいと思いますが、私には正確な知識がありませんので、2013年の『プログレッシヴ・ロック・レジェンド・ペーパー・スリーヴ・コレクション』シリーズで発売された紙ジャケ付属のライナーノーツから抜粋させてもらいます。ライナーは、元ネクサスレーベル・プロデューサーのたかみひろし氏が書いたもので、以前SOPHIAのバイオグラフィーを書いたヌメロ・ウエノ氏の著作本を手伝った経緯があるため、その本から一部を引用されていた。右にならって、私もその内容の一部を引用させてもらおうと思います。

『70年代後半から80年代にかけて、数多くあったノヴェラのコピーバンドの中でも、圧倒的にNo.1だったのがソフィアだ。1980年に当初6人で結成されていたが、メンバー交代を繰り返しながら2年後に最終的な固定メンバーで本格的な活動を開始することとなる。1983年84年にはデモカセットを制作してライブのみで販売した。ラッシュタイプのサウンドは、ノヴェラをこよなく愛する女性ファンの間でも人気が高まり、やがてスターレスと共に、関西のハード・プログレッシヴ・ロックを代表するグループへと急成長を遂げた。1984年には、自主制作レーベルのキャンディレコードから4曲入りのミニアルバム「ソフィア」をリリース。同年、オールナイトイベント”Progressive Night”にジェラルドページェントEVEミダススターレスパズル剣の舞と共に出演。この頃関西プログレ・シーンは最盛期を迎えていた。そして1986年、ネクサスレーベルよりスターレス、夢幻アイン・ソフケネディらに続いてアルバム「DEFIANCE」をリリースする。この頃には初期のラッシュ・タイプのハード・プログレ色は薄れ、アルバムをプロデュースしたアーバン・ダンスの成田忍の影響もあり、ニュー・ウェーヴ色が強調されたサウンドへと変化していた。このサウンドの変化は、残念ながらプログレ・ファンには受け入れられず、アルバムも不発に終わった。そんなこともあり、メンバー間の音楽志向の相違も出てきて同年解散に至る。』

ということだ。

多分、私のアプローチの仕方の方が普通ではないのだろうけど、「DEFIANCE」を聴いた時の反応が真逆だったのだ。当時のファンの方からすると納得のいかないアプローチだろう。というのも、SOPHIAの存在を知ったのは「DEFIANCE」からで、ラッシュっぽいサウンドの楽曲の良いバンドを見つけたと喜んでいたクチだからだ。サウンド的には全く気になる部分はなかったけど、もう少し良い音だといいなとは思っていた。しばらくしてミニアルバムの存在を知り、期待半分にしながら冷静に聴いたのだが、「DEFIANCE」を期待していたので落胆したのを覚えている。その逆を考えると、当時のファンが戸惑うのはわからなくはないが、楽曲をちゃんと聴いてほしかったと思うあの時代にこんな楽曲ありましたか?ミニアルバムは今回も聴きましたが、内容とサウンドがマッチしており決して悪いとは思いませんし、聴くごとに良さがわかってきます。でも、多分、順当な順番でアプローチしていても印象は変わらなかったと思います。今回おススメの「DEFIANCE」からの2曲はもっとリスペクトされるべきだと思います。

ただ、よく言われる「プリズム」というインストの曲がプロデュースとミスマッチだという件は、元のサウンドがわからないので何とも言えませんが、ドラムの細川博史氏が後に組んだバンド「MILLPLAT」で理想の音にリメイクしており、数段良くなっているのは確かです。

こんな形でバンドが終わっていくのは寂しいことですね

 

現在のメンバーの行方

解散の原因はメンバー間の音楽志向の相違もあるということだったので、以降各々が目指す音楽活動が達成できているといいですね。まあ、そんな感傷にひたっているのは私ぐらいなもので、ご本人達には遠いの昔のことで、既に払拭され現在を満喫されていらっしゃることでしょう。

そこで、その後のことを調べてみました。詳しいことはわかりませんが、森川健司氏、土坂健司氏、細川博史氏の活動されている動画は確認することができました。森川健司氏は、バンド「OSAKA NEON NIGHTS」「Go To Hongkong」で活躍中。土坂健司氏は、バンド「Viragin Sabel」で活躍中。細川博史氏は、バンド「MILLPLAT」やゲーム音楽で活躍中。残念ながら、ベースの林伸哉氏の状況はわかりませんでした。

 

Rushと言えば…

たかみひろし氏も言われていた『初期のラッシュ・タイプのハード・プログレ色は薄れ』とう文章にもあるように、私もラッシュRushぽさは感じていました。ラッシュはカナダのプログレッシヴ・ロックで私も大好きなバンドです。初期はもっとラッシュっぽかったのなら是非ライブで聴いてみたかったけど、残念ながら絶対無理な境遇でした。それと、リスペクトしているアーティストがいると、意とするしないに関わらずメロディーまで似てくる、なーんてことよくありますが、SOPHIAの場合それは感じません。だったとしたら名曲に選んでいないです。ラッシュのエッセンスはあるけれど独自の音楽性をもっているのだと思います。

ちなみに、私の好きなラッシュの曲も聴いてみてください。

My favorite Rush songs

Subdivisions、Distant Early Warning、Roll the Bones、Mystic Rhythms、Vital Signs、Open Secrets、Leave That Thing Alone、Tears  etc.

感想

DEFIANCEの感想

先ず、曲とは関係ないのですがジャケットがいいです。アルバムタイトルの通り、女の子が”反抗的”な態度をとっているのですが、戦時中に体をはって反抗しているような目線にも見え、写真に深みが増します。私は、それをミツバチで表現しましたので、動画もお楽しみに!!

本題の曲についてですが、怪しげで緊迫感を感じるイントロで始まり、楽器が重なっていくにつれ危機感をあおる雰囲気となり、歌が始まります。歌詞にもあるように「近づいてくる危険なざわめき」という感じだ。ボーカルを初めて聴いた人は、初っ端から張りつめた高音なので印象強いだろう。私と同じぐらいなので女性の音域の持主だと思う。そして歌詞の続きが「時を包むベールこの時に…」となるのだが、正に曲全体で「DEFIANCE(反抗)」が表現されていると思う。アルバム1曲目にふさわしい、まとまり感のある曲です。

 

LACHERの感想

まず、ピアノをバックにイントロだけにしか使われないボーカルのフレーズで静かに始まる。そのビアノに使われているコード展開が、まるでウィンダム・ヒル・レコードの曲を聴いるかのような上質な味わいがある。そして一変して雰囲気が変わりAメロが始まるのだが、少し低めのボーカルから入り、サビで聴かせどころの張りつめた高音のボーカルとなる。正に、この曲の醍醐味です。そして、2番のサビ前は少し勿体付けられるのですが、その方法もカッコイイのでぜひ集中して聴いてください。曲名の「LACHER」ですが、特定の人の名前なのか、何かの代名詞的扱いなのかはよくわかりません。

それと、全体的に歌詞がわかりにくいと感じるかもしれないのですが、特に聞こえ方と違う部分をフォローしておきます。サビの最後の辺「…いつか渡した約束僕をしばるよ」と聞こえる「」は「」が正解です。

 

文

不本意な終わりを遂げてしまったSOPHIAの名曲。
先ずは「DEFIANCE」
コレ聴け!

 

 

文

続いて「LACHER」
コレ聴け!